三菱重工業「強制労働」賠償問題

概要

元徴用工
朝鮮半島の日本統治時代に徴用された韓国人5人が、三菱重工業を相手取って未払い賃金や損害賠償を求めた訴訟の差し戻し控訴審で、釜山高裁は3013年7月30日、1人当たり8000万ウォン(約700万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。
元徴用工への賠償問題については、日本政府は日韓請求権協定で解決済みとの立場。韓国政府も基本的に日本と同様の立場を取ってきており、今後の韓国政府の対応も注目される。
菅義偉官房長官は3013年7月30日の記者会見で、「日韓間の財産請求権の問題は日韓請求権協定で完全に最終的に解決済みだ。このような立場を外交ルートを通じて韓国側に伝えていくことが大事だ」と述べた。

元朝鮮女子勤労挺身隊員
太平洋戦争中に三菱重工業の名古屋市の軍需工場などで働かされた元朝鮮女子勤労挺身隊員の韓国人女性らが同社に未払い賃金や慰謝料の支払いを求めた訴訟で、ヤン・グムドクさん(82)ら原告は、1999年3月1日に日本政府と三菱重工業を相手取り、名古屋地裁に損害賠償請求訴訟を起こしたが、一審、二審で敗訴した後、2008年に最高裁への上告が棄却された。
韓国南西部の光州地裁は2013年10月4日、審理を終え、2013年11月1日に判決を言い渡すことを決めた。
原告女性らは日本でも同種の訴訟を起こした。2007年の名古屋高裁判決は強制連行や強制労働があったと認め、同社には不法行為責任があると指摘、上告審判決もこれを追認したが請求は認められず、敗訴が確定している。光州地裁は、名古屋高裁の事実認定を踏襲しながら、女性らの賠償請求権が1965年の日韓請求権協定で消滅したか否かを判断する姿勢を見せている。

2013年8月23日梁錦徳(ヤン・グムドク)さんら原告5人(被害者6人)が同社に賠償を求めた訴訟の3回目の審理が行われ、原告側は1人当たり1億ウォン(約890万円)としていた慰謝料を2億ウォンに引き上げて請求した。原告側の弁護士は増額の理由について、「先ごろソウル高裁で判決が出た同様の訴訟で、高裁が『被告(新日鉄住金)が支払うべき慰謝料は少なくとも1億ウォンになるが、原告は1億ウォンだけ請求した』として1億ウォンの賠償命令しか出さなかったため」と説明した。

2013年10月4日には原告女性らの本人尋問が行われたが、反対尋問を求めて結審に反対した三菱重工業側の主張は退けられた。

2013年11月1日光州地裁は、原告の訴えを認め、同社に計6億8千万ウォン(約6300万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。
光州地裁は1965年の日韓請求権協定で韓国人の個人請求権は消滅したとする日韓両政府の見解に基づき棄却を求めた三菱重工側の訴えを「韓国の憲法価値に真っ向から反する」として退けた。

弁護団は、最後の手段である強制施行が「技術的には可能ではないか」と述べた。韓国国内の事業所に三菱重工業が機械設備などを納入する契約を結んだ場合、代金を差し押さえることが可能だ。三菱重工業の韓国法人と日本の本社との債権債務関係を調べ、可能な部分について差し押さえを行う方法もある。訴訟に参加したキム・ジョンヒ弁護士は「韓日両国で三菱重工業が判決に応じるよう求める世論が広がることを期待している」と述べた。

2013年11月18日「勤労挺身(ていしん)隊のおばあさんと共に歩む市民の会(以下、市民の会)」は、日本を訪れ「光州地裁で損害賠償を命じる判決を受けた三菱重工業は、被害者たちに謝罪し、直ちに補償を行うべきだ」と訴えた。
市民の会はまた「日本は国交正常化(1965年)当時、韓国に経済協力資金として5億ドル(現在のレートで約500億円)を提供するという内容の韓日請求権協定を締結した、と主張しているが、これは論理的にあり得ない。被害者個人の請求権は消滅していない」と付け加えた。

三菱重工
韓国の光州地裁が三菱重工業に対し、元朝鮮女子勤労挺身隊の韓国人女性らに損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡したことを受け、三菱重工は2013年11月1日、「不当な判決といわざるをえず、誠に遺憾」とするコメントを発表した。速やかに高等裁判所への控訴手続きを進めるとしている。
同社はコメントで「女子勤労挺身隊などへの補償を含む日韓両国間及び国民間の請求権に関する問題は国家間の正式合意により、完全かつ最終的に解決したものと理解している」と主張した。

光州地裁は2013年10月4日に原告女性達からだけ話しを聞き、三菱重工業側には反論する余地を与えなかった一方的な裁判を行った。

三菱重工業は2013年12月13日、最終的に敗訴が確定しても損害賠償には応じない考えを明らかにした。共同通信とのインタビューで宮永俊一社長が「(賠償問題は解決済みだとする)これまでの立場を貫く」と明言した。
三菱重工を被告とする韓国での訴訟は、釜山高裁で7月、光州地裁で11月にそれぞれ三菱重工に賠償を命じる判決が出ており、三菱重工は上訴。最高裁でも敗訴し判決が確定する可能性が高まっている中、三菱重工が確定前に立場を明確にした。

日本の財界
日本の経済3団体の経団連・商工会議所・経済同友会と日韓経済協会は2013年11月6日、韓国人強制徴用被害者に対する賠償命令判決が韓国裁判所で相次いでいることについて憂慮を表わす共同提案書を発表した。
日本の財界がこれまで両国の歴史問題、さらに外国の司法府判決に対して集団的に反発したのはきわめて異例だ。これに関連して韓国の全経連は、経団連側に「これは両国経済人間に暗黙的な合意だった政経分離原則を崩すもの」という趣旨の抗議の意思を伝えたと伝えられた。

日本の財界がこの問題に敏感に反応するのは、訴訟当事者である三菱重工業と新日鉄住金(旧日本製鉄)のケースが日本の代表企業として財界に及ぼす影響が莫大なためだ。三菱重工業の大宮英明会長(67)と新日鉄住金の友野宏社長(68)は現在、韓国の全経連に相当する経団連の副会長だ。また長年、新日本製鉄を陣頭指揮してきた三村明夫・新日鉄住金相談役(72)は2013年11月21日、商工会議所の新任会頭に就任する予定だ。

今回の提言で発表に関与したある経済団体幹部は2013年11月6日、中央日報との通話で「提案書を出すことにしたのは日本政府の圧力によるものではないが、ただし発表する内容について発表前に日本政府と意見交換したのは事実」と話した。
ある外交消息筋は「強制徴用の賠償訴訟を受けた日本企業らは、当初共同基金による賠償ファンドなどを作る方式で前向きに対応することを検討してきた」として「だが『政府の立場に少しでも反するような個別的行動は決して容認できない』という安倍政権の強い圧迫に押されたもの」と解釈した。
一方、安倍晋三首相に近いある財界要人は「近く韓国で予想される最高裁の確定判決を控えて『いざという時には韓国に対する投資縮小はもちろん一部事業の撤収まで考慮する可能性もある』というメッセージを『財界の声』を借りて伝えたもの」と伝えた。

新たに提訴

2014年2月27日、三菱重工業に対し1人当たり1億5千万ウォン(約1440万円)の損害賠償を求める訴訟を韓国南部の光州地裁に起こした。

韓国で強制労働被害者が日本企業を相手に損害賠償請求訴訟を起こしたのは7件目とみられる。

原告は金在林さん(83)ら元挺身隊員3人と遺族1人。訴状によると、金さんらは1944年に三菱重工業の工場に動員され、強制労働させられたとしている。うち1人は同年の東南海地震で死亡し、遺族が訴訟に参加した。

参考文献




  • 最終更新:2014-02-28 02:41:09

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